一人暮らしの電気代ってどれくらい?
一人暮らしを始めるにあたって、気になるのは「毎月の生活費」ではないでしょうか。なかでも、電気代は季節や使い方によって大きく変動するため、あらかじめ目安を知っておくと安心です。最近は、電気代の高騰が相次いでおり、節約を意識する方も増えています。そこで今回は、電気料金の仕組みも含めて、一人暮らしの平均的な電気代を紹介していきます。費用を抑えるための工夫もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
一人暮らしの電気代の平均はどれくらい?
2023年に総務省が行った家計調査によると、一人暮らし世帯の年間電気代の平均は約80,700円となっています。月に換算すると、約6,700円です。ただし、これは全国平均であり、地域や季節、ライフスタイルによって電気代は大きく異なります。
ちなみに、環境省によると一人暮らしの電気使用量は年間約4,175kWh、月にするとおよそ350kWh前後とされています。ひと月の電気使用量が400kWhを超えているのであれば平均的な電気使用量よりも多いため、家電の使用状況を見直してみるのがいいでしょう。
電気代や電気使用量は、毎月送付される検針票やオンライン上のWeb検針票にて確認できます。一人暮らしで400kWhを超えている方は、冷蔵庫や洗濯機・エアコンなどの家電製品を使いすぎている可能性があります。
使い方を少し見直すだけで、電気代を大幅に抑えられます。本記事の後半では、すぐに実践できる節約のコツを紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
電気料金の仕組み
電気代は一律で決まっているわけではなく「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の3つの要素で構成されています。電気料金の仕組みについて、くわしく解説します。
基本料金
電力会社との契約容量で決められているのが「基本料金」です。地域によって「アンペア制」と「最低料金制」の2種類があります。いずれも固定料金なので、一切電気を使用しない月があったとしても、必ず請求されます。主に、電力会社の設備費や人件費に充てられるものですが、新電力会社の中には「基本料金0円」を売りにしているところもあります。
アンペア制の場合、電気の契約アンペア数に応じて、毎月かかる額が決まっています。契約容量が大きくなるほど料金も高くなります。
たとえば、東京電力の場合、30A契約では858円、40A契約では1,144円といったように、段階的に設定されています。一人暮らしであれば、20~30Aほどで十分なケースが多く、必要以上に高い契約にしていると無駄な出費につながることがあります。使用状況に合わせて見直すことが大切です。
電力量料金
「電力量料金」とは、その名の通り使用した電力に対して支払う代金のことです。「従量制料金」とも呼ばれており、多くの電力会社では使用料に応じて単価が変動する「段階制」を採用しています。
たとえば、東京電力の従量電灯Bの場合、最初の120kWhまでは1kWhあたり29円ですが、300kWhを超えると40円台になります。使えば使うほど単価が高くなる仕組みとなっています。
この電力量料金によって、電気を多く使う季節は電気代が急激に上がることもあります。
再エネ賦課金
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの普及を支援するために、電気を使うすべての人が負担する料金です。国が定めた「固定価格買取制度(FIT制度)」を支える財源として、すべての家庭や企業に等しく課せられています。
この賦課金は、電力量に応じて課金されます。電力量料金と同様に、電気の使用量が多いほど金額も高くなります。賦課金の単価は年々変動しており、最エネ導入の発展によって増減することがあります。
季節ごとの電気代の目安
時期によって電気代は大きく変動します。季節ごとの電気代の目安と内訳を解説します。
夏(7~9月)
夏場はエアコンの使用頻度が高くなるため、一人暮らしでも電気代が上昇しやすい季節です。とくに、7月後半から9月初旬にかけて冷房を長時間使用することで、1か月あたりの電気代が8,000円~10,000円を超えることも少なくありません。
また、冷蔵庫の稼働率も上がるため、電気使用量が増加します。扇風機や除湿器などを併用していると、さらに電気代が上乗せされる傾向にあります。
冬(12~2月)
冬も夏と並んで電気代が高くなるシーズンです。1日中エアコンをつけている家庭では、とくに電力を多く消費します。日照時間の短さや寒さによって、照明や電気ストーブなどの使用も増えるため、1か月あたりの電気代が9,000円~11,000円前後になることもあります。
春(3~6月)・秋(10~11月)
春や秋は気温が比較的穏やかなので、冷暖房の使用が減ります。その分、年間の中で最も電気代を抑えられます。
この時期の平均電気代は、5,000円~6,000円台です。家電の使い方や時間帯に気をつけることで、さらなる節約につながります。
電気代を節約するコツ
ここからは、節電に役立つ暮らしのポイントをいくつか紹介していきます。
エアコンの稼働率を減らす
電気代が大きく跳ね上がる原因のひとつが、エアコンの使用です。設定温度を見直すだけでも節電効果は高く、冷房時は28℃・暖房時は20℃を目安にすることで、過度な消費を防げます。
また、扇風機やサーキュレーターを併用すると、空気の循環がよくなり設定温度を抑えても快適に過ごせます。エアコンの効率を維持するためには、フィルターの定期的な清掃も欠かせません。
電気料金が高くなる時間を避ける
電力会社の料金プランには、時間帯によって単価が異なる「時間帯別料金プラン」が存在します。たとえば、夜間や早朝だと、電気料金が安くなるケースもあります。
洗濯機や食器洗い乾燥機、電子レンジなど、使用時間を調整できる家電は、なるべく電気代が安い時間に稼働させるのがポイントです。契約しているプランの料金設定を確認し、電気を使うタイミングを意識することが大切です。
そのほかにも、日中に照明を使う習慣のある方は、カーテンの種類を変えて日光の入りやすい環境を作るのも一つの手です。使用していない部屋の照明はなるべく消して、こまめに照明の切り替えを行うといいでしょう。
契約中の電気料金プランを見直す
電力の自由化以降、さまざまな電気料金プランが登場しています。なかには、一人暮らしに特化したお得なプランも存在します。
電気の使用量が少ない方に適した「従量制プラン」や、使用時間が集中する方におすすめの「時間帯別プラン」など、自分のライフスタイルに合ったプランを選ぶことが重要です。複数の電力会社を比較し、見直しを検討してみるといいでしょう。
太陽光発電システムを導入する
一戸建てやメゾネットタイプの物件に住んでいる方であれば、太陽光発電の導入も選択肢のひとつです。初期費用はかかるものの、日中に発電した電力を自宅で使用することで、電気料金を大幅に削減できます。
さらに、余った電力は売電することも可能です。蓄電池と併用することで、災害時の非常用電源としても活用できるため、長期的な視点で見れば非常に実用的な節電対策と言えます。
まとめ
今回は、一人暮らしの電気代について、くわしく解説しました。一人暮らしの電気代は、季節やライフスタイルによって大きく左右されますが、1か月あたり6,700円ほどが目安です。8,000円を超えていると電気を使いすぎている可能性があるため、家電製品の使い方を見直してみましょう。とくに、冷蔵庫や洗濯機・エアコンなどの使用頻度が高いと、電気代が上がりやすいので注意が必要です。ちょっとした工夫で大幅に電気代を抑えられるので、節約のポイントを意識して生活してみるといいでしょう。本記事が参考になれば幸いです。